お知らせ
|2024年03月18日 4:59PM|
1年生の地理歴史科「歴史総合」では、3月8日(金)、武道場で「パレスチナ問題から『共に生きる』を考える」をテーマに、授業を実施しました。
フォトジャーナリストの安田菜津紀さん(Dialogue for People副代表理事)とオンラインで結び、パレスチナ・ガザ地区での取材をもとに、ご講演をいただき、「共に生きる」ことについて考えました。終了後も、画面越しで安田さんと生徒とが交流し、講演で取り上げられた「パレスチナ・オリーブ」(日テレNEWS NNN「【特集】共存のかたち示す ”パレスチナ・オリーブ” イスラエル人とパレスチナ人が一緒になって作ったオリーブオイルを販売する日本人女性の思い」)について、自分たちもアクションを起こしていきたいと、さっそく具体的なアイデアを提案している生徒もいました。
講演について、西村理一さん(1年生)は「文章や数値では伝わらない現地に住む一人一人の被害について、少し実感を持って知ることができたと感じる。今回の講演で紹介されたような事例が倒壊した建物の数だけ、亡くなられた被害者の人数だけあると考えるとなんとも心苦しくなった。このようなことに目を背けず事実と向き合っていく努力をしたい」と振り返っておられました。
講演の前には、有志の生徒が先生役となって、パレスチナ問題とその報道のあり方に関して「パレスチナ問題は、パレスチナをめぐるユダヤ人とパレスチナ人(アラブ人)の間の争いである」という説明は、どの程度、妥当といえるだろうか?」をメインクエスチョンとした授業を1年生全体で行いました。
授業を企画・実施した有志の生徒の皆さんは、週末や昼休みに集まって、アラブ文学者・思想学者の岡真理さんの講演の映像を観たり、本やインターネットで文献を調べたりして、授業を準備しました。授業方法は、ふだん歴史総合の授業で取り組んでいる「知識構成型ジグソー法」を採用し、1から教材を作りました。
授業に取り組んだ坂巻啓斗さん(1年生)は「授業を受ける側であれば体験できないような経験をすることが出来たので非常に楽しかった。将来は教員志望ということもあり、将来に役立てていきたい」、多賀泰斗さん(1年生)は「この紛争が発生した後、しばらく自分も情報を集めていましたが、それも結局、数字だけ。やはり、世界の事象について知るには歴史の背景を知るべきだ、と今回の活動から改めて学ぶことができました。」と振り返っておられました。
この取り組みは、昨年希望生徒が「第21回 東アジア青少年歴史体験キャンプ in 日本”プレキャンプ”」に参加し、安田菜津紀さんのお話を伺ったことをきっかけに、生徒の発案で企画されたものです。生徒が受け身で勉強するのではなく、教員と生徒とが問題意識を共有し、一緒に“探究する学び”をつくっていくことが、本当の学びであると考えています。今回の取り組みは、そうした理念を体現するものでもありました。
講演で安田さんは「時間が経つにつれて、戦争のニュースは数字に代わっていく。そこにあった生活、そこにいる人。それを映し出し、考えるきっかけを作っていきたい」とフォトジャーナリズムに込めた思いを語っておられました。ウクライナやパレスチナをはじめ、平和が侵される世界を生きる私たちにとって、歴史学習もそこにあった生活、そこにいる人への想像力を培うものでなければならないと痛感しました。
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